めんどうだなぁ。と帝人は道の向こうからこちらをおもしろそうに伺っている存在を認識しながら、それに気付かれないよう肩を落とした。

 折原臨也という、先日正臣から関わるなと忠告を受けた人間。

 正臣は面識があるようだが、帝人自身は顔を合わせたくらいで直接関わりはない相手が何故自分を観察しているのだろうか。

 隣を歩く正臣は彼の存在に気付いていないらしく、今日もしごく楽しそうだ。

 (紀田くんが楽しければ、まぁいいんだけどね)

 多少、自分がうっとうしいのを我慢すればいいことだと分かってはいるのだが…

 それでも、どうしても思わずにはいられないのだ。

 あぁ…なんであんなめんどうな人に興味をもたれてしまったのだろう、と。

 (変なことはしてないはずなんだけどな)

 あくまで、一般人の範囲で行動しているはずなのに、何が彼の琴線にふれたのか帝人には全く理解ができないでいた。

 積極的な幼なじみに振り回される、普通の大人しい高校生。

 高校に入って気になる女の子はできたけど、告白なんかがらじゃない。

 友達でいられるだけでいいなんて、そんな可愛らしいことを考えているごく普通の。

 (静雄さんと知り合いだなんて、そんなことばれてないはずだし)

 唯一思い当たることといえばそのくらいだが、その件に関しては徹底的に隠しているからばれているはずがない。

 帝人が徹底的にと言ったら、それは本当にひとつも漏れる隙間はないのだ。

 なのになんで、一度挨拶をしただけの高校生に興味を持って観察したりなんかするのだろう。

 うーん。と帝人は首をひねる。

 

 

 ダラーズの創始者なんて肩書き、あの人にとってはそんな大したもんじゃないと思うのに。

 

 

 

 (なんであの人、僕に興味持つんだろ)

 ほんと。分からない人だなぁ。

 

 

 普通じゃない組織を作りあげた普通じゃない少年は、そして普通のふりをして今度こそため息をつきながら肩を落とした。