注:今後オリキャラが出てくる予定です。苦手な方はバックでお願いします。

 

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 ライラと呼ばれた子供がいた。

 

   

 歌うようなその名前を持つ子供は、マスメディアという媒体を通しその存在を日本中へと広められ、一時期はその子供を知らない人などいないのではないかというほど名の知れた子供だった。  

 はじめは、宝石のテレビコマーシャルだった。  

 新気鋭のブランドが流したコマーシャルに、その子供はいた。

   

 銀の台座と輝くダイアモンドに年端も行かない子供など似つかわしくないのではないかというイメージを、そのたった15秒の映像は簡単に覆す。いや、映像がではない。その子供が・・・だ。  

 透けるような白い肌。夜を溶かしたような長い黒髪と大きな瞳。  

 その子供自体が作品の一部であるかのように、子供はただ長いまつげで飾られた瞳をブラウン管の向こう側に投げかける。ただ、それだけのCMであったはずなのに。

   

 すべての人が魅了された。

   

 子供の可愛らしさなんてそんな生易しいものではない。鳥肌が立つようなそんなえもいわれぬ迫力がその子供にはあった。ただそれだけで無条件に従ってしまいそうなほどの視線の力。  

 もしこの子供がもう少し大人で、そして自らの意思を持っていたとしたら、恐らくカリスマと呼ばれる人種になっただろう。  

 それも、誰も逆らえないくらいの。  

 そのコマーシャルただそれだけで、一気にライラの存在は注目の的になった。  

 ライラの視線の強さの意味をすべての人間が分かっていたわけではないが、それでもライラはその幼さにしてみれば美しくそして圧倒的で、時折見せる笑顔は天使のように可愛らしいものだったからお茶の間の話題をさらうのは当然だといえたかもしれない。

 けれどそれだけ騒がれながらも、ライラのプロフィールはすべて不明だった。本名も年齢も出身地も、そして・・・性別さえも。  

 その上、ライラがこなした仕事は両の指があれば十分事足りるほどだった。  

 宝石のコマーシャルと、アパレルブランドのモデル。主にその2つを中心に仕事をし、時折ミュージシャンのPVの出演などもこなしはしたが決して多くない仕事量はお茶の間の飢餓感を煽った。

 

 もっと、もっともっと見たい。もっともっともっと欲しい、と。

 

 しかし、ライラはそんな声など知らぬとでもいうように、ある時ぱったりと芸能界から姿を消した。  

 人々の興味をあおり、その最高潮の中で。  

 理由を誰にも告げぬまま、まるでそんな存在などいなかったかのように。  

 ライラの行方は、いまだ知れない。  

 蝿のようにかぎまわるゴシップ誌も、何故かライラのその後を辿ることはできなかった。  

 子供の正確な年齢は公表されずじまいだったが、順調に成長をしていれば、中学か高校といったところだろう。  

 時折ネットには、その今を想像する書き込みがぽつりぽつりと上がることがある。今でも誰かが、まるであきらめ切れないかのように幻を探している。

   

 天使の顔をした悪魔のような存在の今を。

 

 

   

 ところで。  

 今池袋には同じくライラの音をもつ高校があるが、それとその子供の関係を取りざたすものはもちろん誰もいない。